介護の気付き(日常編)

目次

・ある新米職員の話

・今から結婚式にいくというAさんの話

・「ちょっと、待ってて下さい。」という言葉

・歩くことを嫌がる利用者の話

・私の居場所がなくなった話

・私のスカーフはどこにあるの

まとめ

 

ある新米介護職員の話

Aさんが、訪問介護の仕事を始めて6ヶ月の出来事です。担当した利用者Cさんは、1年前がんの治療で入院。徐々に体調も悪化し医師からは余命宣告を告げられました。Cさんと家族の希望で残りの人生を自宅で過ごすことを決め、すぐに、訪問診療の医師、訪問看護、訪問介護、福祉用具、ケアマネジャーなどが関わり在宅支援が始まりました。訪問介護で働くAさんは、清拭や排泄介助を支援していましたが、医師や看護師、ケアマネジャーとのかかわりの中で、知識や経験が少ない自分が情けなく感じ落ち込む日々が続きました。ある日、本人と家族に「知識や経験が少ない私が担当で本当にすみません・・・。」と謝りました。Cさんが「あんたの笑顔がうれしい。いつも優しく手を握ってくれるし、汚いものも嫌な顔せず取り替えてくれて、ありがとう」という言葉にAさんは嬉しくて涙を流しました。

この事例を読んで、心温まる話とは別な見方をした場合、私は次のように感じました。医師や看護、ケアマネにもそれぞれの役割があるように、介護も専門職としての役割があるのです。Aさんの心情は理解できますが、謝ることはかえって相手に失礼な場合もあります。「知識や経験あ少ない私ですが、精一杯支援させていただきます。」と伝えた方が良かったかもしれません。清拭や排泄は直接利用者の身体にふれ全身を観察できる重要な役割を担っています。もちろん知識や経験は必要ですが、医師や看護、ケアマネと比較する必要はないのです。介護職としての関わりや視点をもって他職種と連携しチームケアを行うことが重要です。

 

今から結婚式に行くというAさんの話

Aさん80代男性は元警察署長。定年後アルツハイマー型認知症が発症し在宅生活が困難になり施設に入所されました。ある日、険しい顔つきで事務所来るなり、「早くここから出してくれ」と怒って言いました。付き添っていた介護職員は「どうしました。」と理由を聞くとAさんは「今日、結婚式がある」と言うのです。詳しく確認するとどうやら今から新郎として結婚式行くため慌てているようです。それを聞いた介護職員は結婚式がないことを説明しなんとか部屋にもどそうと必死に対応していました。しかしAさんはますます興奮してしまいました・・・。

仮にAさんがあなたの友人や知人だったら(認知症でなかったら)どうでしょう。「今から結婚式がある」と言われたら「おめでとうございます!」と祝福しませんか。傾聴や受容や共感しながら対応することが認知症ケアの基本です。この事例では訴えに対して否定される言葉や態度によりますます興奮されたと考えられます。多くの利用者の対応をしている介護職員にとって一人の利用者に時間をかけることが難しいという言い訳があるかと思います。施設全体で認知症ケアの理解と対応を学びケアすることが大切です。認知症を抱える利用者に寄り添うケアを行っていきましょう。

 

「ちょっと、待ってて下さい。」という言葉

介護職員のBさんは利用者のケア中に別の利用者から声をかけられました。Bさんは「ちょっと、待ってて下さい。」と言いました。そう言われた利用者は待っていましたが、とうとう怒ってしまいました。

施設内を歩いていると「ちょっと、待ってて下さい。」という言葉をよく耳にします。この言葉に疑問を感じたことがないでしょうか。「もう暫く、お待ち下さい。」と丁寧に言えばよいという話ではありません。「ちょっと」「暫く」「もう少し」という言葉にあなたはどれ位待つことができますか。具体的に伝えることが待つ相手には親切です。何気なく使っている言葉で相手を怒らせたり、傷つけたりするものです。抽象言葉やめ具体的言葉に変えていきましょう。

 

歩くことを嫌がる利用者の話

利用者Kさんは何かにつかまれば歩くことができているが下肢筋力低下を予防するため歩行訓練を行う計画を立てましたが、歩くのが嫌いな利用者Kさんはいつも「今日は調子が悪いから止めておきます。」と言います。職員は思うようにリハビリが行うことができず困っていました。

利用者にとって歩くだけの目的では面倒に思うかもしれません。例えば、「桜を見にいきましょう。」「コーヒーを飲みにいきましょう」など利用者の好きなことや興味があることを目的にすることで思い腰が上がるかもしれません。歩くことを表面にださず、違う目的のため歩く方が楽しいかもしれません。介護は日頃から利用者の情報を取集することは重要です。利用者の意欲をどう引き出すかはあなたの情報に隠れているかもしれません。*是非「ICF」(国際生活機能分類)を活用していきましょう。

 

私の居場所がなくなった話

施設にいるMさん(認知症)はいつも決まって食堂にある窓際の椅子に腰かけていたが、ある日Mさんが椅子につまずき転びそうになりました。これをきっかけに窓際の椅子を撤去することにしました。その後、居場所を失ったMさんはあまり部屋から出てこなくなってしまいました。

あなたはの自宅で落ち着ける場所はどこですか。リビング、それとも自分の部屋、或いは台所など人それぞれ好きな居場所があるはずです。この事例では危ないから椅子を撤去するのではなく危なくないよう環境をつくる支援を検討すべきだったのでしょう。施設での環境つくりは居室だけではありません。音楽をかけたり、花を飾ったり、一人の空間がもてるようパーティションを活用するなど居場所をつくりも大切にしてほしいです。利用者にとって施設は自宅であることを忘れてはいけません。

 

私のスカーフはどこにあるの

訪問介護で働くTさんは、整理整頓が得意な職員です。ある利用者の自宅で掃除の支援を行っていた時の話です。無造作に置かれた物をきれいに整理し終えたTさんは事業所に戻りました。翌日利用者からスカーフがないと苦情の電話がありました。すぐに利用者宅に訪問しスカーフはタンスの中に片付けたことを説明し謝罪しました。

例えば整理整頓された机で仕事をしている人から見れば、たくさんの書類が積まれた机で仕事をする人をみると「なぜ」という疑問を感じたことがありませんか。しかし不思議なことに必要な書類のありかを本人は知っているのです。また子供の部屋を母親が勝手に片付けて怒られたケースもあるように、利用者の生活を支援する中で注意が必要なことは職員の思いや考えが中心になってはいけません。あくまでも利用者主体でなくてはならないのです。この事例で一番足りなかったことは説明と同意です。そして、無造作に置かれた部屋が汚れていると思い込んだことも一つの原因だと考えられます。
今から食堂にいきましょうとベッドから車いすに乗せる介護職員。これは今から出かけるから車に乗ってと同じことです。何のために食堂にいくのかという目的の説明と同意は必要です。

 

まとめ

誰かを支援をすることは大変なことだと思うこともあります。良かれと思ってやったことが結果的に事故や苦情などにつながることもあります。私が学生のころ「男が介護の仕事なんて」と馬鹿にされた記憶もあります。しかし、誰かがやらなくてはいけない大切な仕事でもあります。介護の仕事は立ち止まっている暇などないのです。利用者やその家族、そして自分自身にとって明日が幸せな日になれるよう走り続ける仕事なのです。

介護の気付き(おしゃれ編)

目次

おしゃれな職員

いつも同じ服

ある上司

ズボンのゴムがすぐに伸びる

服の思い出

お化粧の話

リンスインシャンプー

ネイル

髪型

紙パンツ

まとめ

 

おしゃれな職員の話

Aさんは、普段だからおしゃれが好きで、「この服かっこいい。この靴もいいな」とファッション誌をみながらよく言っていた。そんなAさんは、髪を茶色の染めパーマをかけ職場にいった時の話だ。Aさんの髪型をみ

た施設長はAさんを呼び出しこう言った。施設長「あなたの髪の毛は、パーマをかけ色も染めてあるね。鏡を見てみろ。どう思う?」 Aさんは、怒られると思い。「すみません・・・」と答えた。施設長「すみません。ではなく、どう思うのかと聞いている」Aさん「はい。私はかっこいいと思います」と正直に答えた。

施設長「そうだよ、かっこいいよな。あなたは、おしゃれするのに、なぜ、ここにいる利用者の、おしゃれに気を配らないの」

 

いつも同じ服の話 

月曜日(入浴日)。A職員は利用者のタンスから花柄の洋服を準備し利用者が脱いだ服を洗濯し干した。次の日(火曜日)、B職員が乾いた洋服をタンスにもどした。木曜日(入浴日)A職員は利用者のタンスから花柄の洋服を準備し利用者が脱いだ洋服を洗濯し干した。次の日(金曜日)、B職員が乾いた洋服をタンスにもどした。

何か気がついただろうか。花柄の洋服はなぜこんなに人気があるのだろう。他にも素敵な洋服がたくさんあるのに・・・。その日の天気や気分、外出などにより着る服を選ぶことは、当たり前ではありませんか。

 

ある上司の話

職業により異なる制服。例えば、医師や看護師は、白衣とナース服。会社員は、ネクタイにスーツ、調理人は白の服に白い帽子など。では、介護職員の制服はどんなイメージだろうか。ポロシャツとジャージ(ズボン)にエプロン? 上司は、「もっと、おしゃれな制服はないかしら」

子供の頃やドラマを観ていて、制服(服装)に憧れを抱いた経験はないだろうか。介護の制服で、働く意欲や憧れが生まれるかもしれません。

 

服の思い出

ある職員が、利用者のセーターを洗い間違って乾燥機にかけてしまいました。その結果、セーターは小さく縮んでしまいました。このセーターは、奥様が手編みで編んでくれた大切なセーターでした。

服は、その人が歩んできた人生そのもの。誰にも大切な服があるはずです。

 

ズボンのゴムがすぐに伸びる

ある施設では、ベッドから車いすなど移乗際、相撲のように利用者のズボンを両手で握り介助する職員が多い。その結果利用者のズボンのゴムはすぐに伸びてしまう。

介護技術の学習と移乗介助の工夫があれば、相撲をとることはないでしょう。ズボンが伸びたらどうしますか。また新しいズボンを買わなくてはならない。誰が買うのかを考える必要があります。

 

お化粧の話

ある利用者が「お化粧をしてないから外出はしたくないの。」お化粧をする歳でもないからねと笑って話す。

この何気ない言葉から、女性はいくつになっても女性でです。利用者に化粧を強要することはできませんが、化粧することを諦めてしまう生活環境にしてはいけない。化粧によって外出するきっかけとなり意欲の向上につながることもあります。

 

リンスインシャンプー

ある施設でボデイーソープとシャンプー(リンスイン)が浴室の鏡の前にセット並べられている。トリートメントやリンスはどこにあるのだろうと探す利用者。「このシャンプーはリンスも入ってるよ」と説明する職員。

皆さんは日頃、どんなシャンプーを使ってますか? 美容室からでると髪の香りが心地よく感じるものです。介護は心地よさやその人らしさを考えるサービス業なのです。特別な物品は、利用者に購入してもらうことは可能です。

 

ネイル

若い介護職員が高齢者にネイルをしていた。「爪がこんなにきれいになったよ。一度やってみたかったの」と喜ぶ利用者。一昔では考えられない光景でした。

利用者同士の話に耳を傾けると携帯電話の話、ファッションの話、政治の話、カフェの話、ネット通販の話など話題は豊富です。利用者も同じ時代にいることを忘れてはいけません。

 

髪型

女性利用者はなぜ髪が短いのか。と疑問を持ったことはないだろうか? ある施設で、毎月2回出張美容が来ます。出張美容の日、ある職員が利用者を連れて美容師の方に「なるべく短くして下さい」と伝える。カットが終了し鏡を見た利用者が「こんなに短くしちゃったの。」と言う。職員が「短い方が楽でいいよ」と声かけする。

学生時代、髪型に失敗して学校に行くことが恥ずかしい思いをした経験はないだろうか。介護は利用者主体であり、介護者が楽だからという理由はない。不適切なケアとして虐待としてとらえられる恐れがります。

 

紙パンツ

ある薬局で親子(娘と母)がおばあちゃんの紙パンツを選んでいた。娘がが母に「もっとかわいい柄や色はないの」と母に聞いていた。母は「見えないから何でもいいのよ」と答えていた。

紙パンツは白色が一般的だが、ピンク色や薄型で外見から紙パンツをはいているかわからないなど年々進化ています。忘れてはいけないことは自尊心です。ある男性に便座に座っておしっこをするよう(床が汚れてしまうから)言い続けていると意欲が低下してしまったという事例があります。これまで立っておしっこをしていたが、座っておしっこをすることが男としての自尊心が傷ついたのでしょう。紙パンツも同じことがいえるでしょう。おしゃれな紙パンツがあれば、使用することへの自尊心が傷つかないかもしれません。

 

 

まとめ

おしゃれとは気を配ること。その人らしさ(個性)を引き出すよう(自己選択)支援することが大切です。人はおしゃれを褒められると嬉しいものです。もっと楽しくおしゃれを楽しめる支援をしたいものです。*自己選択:自分で選び決めること。

 

 

介護サービス計画書の重要性

目次

1,介護保険制度のサービスを利用する際「サービス計画書」が必要

・財源の視点から見てみる
・専門性の視点から見てみる

2,そもそも、介護支援専門員はどこにいるの?

3,介護支援専門員の仕事

4,実は、利用者本人や家族が居宅サービス計画書を作成することもできる

5,介護保険では、介護支援専門員だけがサービス計画書を作成するわけではない

6,計画書は飾りじゃない

 

 

介護保険制度のサービスを利用する際「サービス計画書」が必要

介護が必要になった利用者(要介護認定を受けた方)が、介護保険サービスを利用する場合「サービス計画書」というものが必要になる。

なぜ、サービス計画書が必要なのか? 誰が作成するのか?

 

財源の視点から見てみる

介護保険制度の財源を100%とすると

・第1号被保険者(65歳以上)+第2号被保険者(40歳以上~65歳未満)=保険料50%

・国+県+市町村=公費50%

この財源をもとに、介護が必要になった場合(介護認定を受けた方)誰でも介護保険を利用できる社会保険方式を適用しています。

*社会保険方式・・・給付と負担の関係が明確です。

しかし、介護が必要になった場合、使いたいサービスをどれでも使えるものではありません。例えば、携帯電話のCMで、「使いたい放題」をサービスとして取り入れていますが、介護保険で、使いたい放題にしたら財源がなくなってしまいます。

 

専門性の視点から見てみる

介護が必要になった方が、複雑化していく介護保険制度を理解し利用することは難しいことです。そこで、介護保険制度では、利用者とサービス事業所との間を取り持つ、言わば接着剤のような役割を担う、介護支援専門員(ケアマネジャー)が、誕生しました。介護支援専門員は、利用者の心身状況や生活の希望などから、適切にサービスが利用できるよう計画を作成する業務を担当します。

*介護支援専門員・・・一定の実務経験を有する者が、都道府県知事が行う試験に合格し、かつ介護支援専門員実務研修を修了し、知事に登録した者。

適切にとは、利用者の心身の状況や生活環境等の項目ごとに情報収集し、課題分析(解決すべき課題等)を行い計画を作成します。サービスを実施後は、計画に問題はなかったかなど(モニタリング)を行い、評価(継続するのかなど)を行います。この一連のプロセスを「ケアマネジメント」と言います。

 

ケアマネジメント
インテーク(初回面接・相談)
アセスメント(情報収集、課題分析)
サービス計画書作成(原案)
*サービス担当者会議
*サービス計画書(確定): 利用者の同意
実施
モニタリング

 

 

そもそも、介護支援専門員はどこにいるの?

在宅で生活する方を支援

介護保険制度のサービスの一つに、「居宅介護支援」があります。
居宅介護支援・・・要介護認定(1~5)の方を支援します。

地域包括支援センター(市町村が設置主体)

主任介護支援専門員・社会福祉士・保健師等から構成されます。
*主任介護支援専門員とは、

(業務内容)
① 総合相談支援業務

② 権利擁護業務

③ 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務

④ 介護予防ケアマネジメン(要支援認定を受けたものが、介護予防サービスを利用する場合、地域包括支援センターがケアマネジメントを行います)

⑤ 在宅医療・介護連携推進事業

⑥ 生活支援体制整備事業

⑦ 認知症総合支援事業

⑧ 地域ケア会議推進事業

 

以下のサービスには、介護支援専門員が配置されサービス計画書を作成します

・特定施設入居者生活介護

・施設サービス(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院)

・認知症対応型生活介護(グループホーム)

・小規模多機能型居宅介護 (通所・訪問・お泊まりのサービスが利用できます) など一部紹介

 

 

介護支援専門員の仕事

介護支援専門員は、公平かつ誠実で、中立なケアマネジメント業務を行います。(義務)

 

1,ケアマネジメント業務

インテーク(初回面接・相談)
アセスメント(情報収集、課題分析)
サービス計画書作成(原案)
*サービス担当者会議
*サービス計画書(確定): 利用者の同意
実施
モニタリング

2,給付管理業務

サービス利用の管理(費用等)や請求業務

 

 

実は、利用者本人や家族が、居宅サービス計画書を作成することもできる

自己作成することをセルフプランと言います。自己作成される場合は、作成する書類や手続きがことなるため、事前に市町村に相談するとよいでしょう。

 

 

介護保険では、介護支援専門員だけが計画書を作成するわけではない

サービス提供するすべての事業所が、計画書を作成する必要がある。

ある利用者(介護認定を受けた方)が、居宅介護支援事業所と契約し、担当の介護支援専門員(ケアマネジャー)が自宅に訪問した。
担当の介護支援専門員は、ケアマネジメント業務のインテークとアセスメントを行い。「居宅サービス計画書」を作成した。

「居宅サービス計画書」には、「トイレまで歩けるようになりたい」などの目的に対して目標設定・期間・具体的方法・どのサービスを利用するかなどを記載されています。

(例)
目的 「トレレまで歩けるようになりたい」
長期目標:トイレまで歩けるようになる  期間:6ヶ月
短期目標:リビングまで歩けるようになる 期間:3ヶ月
内容  :歩行訓練
サービス:訪問リハビリ  週1回(水)
通所リハビリ  週2回(月・金)

この「居宅サービス計画書」は、利用者本人・訪問リハビリ・通所リハビリに渡される。

訪問リハビリと通所リハビリは、そらぞれ介護支援専門員から渡された「居宅サービス計画書」をもとに目標達成のためサービス計画書を作成し、サービスを実施します。各サービス事業所が行うプロセスを「介護過程」という。

*各サービス事業所が作成した「介護計画書」(サービス計画書)は、利用者本人・介護支援専門員にも渡します。

介護過程

アセスメント(情報収集、課題分析)
サービス計画書作成
実施
モニタリング
評価(再評価)、終結

 

 

サービスの計画は誰が作成するの

介護保険制度では、各サービス提供事業ごとに運営に関する基準が設けられ、計画作成者の配置についても記載されています。

例えば、
・訪問介護:サービス提供責任者が計画を作成します。
・通所介護(デイサービス):管理者や生活相談員が作成します。 など一部紹介

介護支援専門員という資格者が計画作成するわけではない

以下のサービスには、介護支援専門員が配置されサービス計画書を作成します。

・特定施設入居者生活介護
・施設サービス(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院)
・認知症対応型生活介護(グループホーム)
・小規模多機能型居宅介護 (通所・訪問・お泊まりのサービスが利用できます) など一部紹介

 

計画担当者と計画(プロセス)を整理

【居宅サービス】
要介護1~5 → 居宅介護支援 / 介護支援専門員 / ケアマネジメント
要支援1・2 → 地域包括支援センター / 主任介護支援専門員・社会福祉士・保健師等 / ケアマネジメント

各サービス提供事業:運営基準で配置された計画作成者 / 介護過程

 

計画書は飾りじゃない

介護の仕事は、身体介護や生活援助を行うだけでなく、想像以上に記録などの書類も多いです。しかし、介護保険制度の各サービス事業所において、「計画書」の作成は必須業務です。介護支援専門員が行う「ケアマネジメント」は、利用者が望む生活全体の計画であり、各サービス事業所が行う「介護過程」は具体的なサービス内容であるように、それぞれの計画は支援する関係者が共有し、同じ目標に向け一つのチームとして支援していきます。

しかし、介護計画書を見なくても介護はできると思い込んでいる人がいます。それでは、たたのお世話係です。介護の専門職として個々の介護計画を把握し支援することは当然の業務です。例えば食事の場面において、何を目的に介助するのか、なぜ介助するのか、どう介助するのかそして、その根拠はなにか? 利用者の望む生活に向け、何が必要なのか(どんな介助が必要なのか)ということが、関わる職員全員が共有しなければなりません。よく介護現場においてAさんとBさんのやり方が違う。なんて話を聞きます。介護計画の存在は知っているが見たことがないというレベルの低い介護職員には絶対になってはいけません。

 

まとめ

計画書は利用者そのものであり、支援する人の理想を描くものではありません。実現可能な計画をたて他職種が同じ目標に向かって支援していくことが重要です。「ケアマネジメント」「介護過程」のプロセスを繰り返し支援していくことが私たち専門職としての根拠(エビデンス)です。

 

 

 

介護の尊厳と権利 

時代の流れとともに、見直された「尊厳と権利」介護の仕事をする上で、尊厳と権利を守ることは絶対条件の一つです。しかし、高齢者や障害者の方に対して、今だに介護の仕事を行う者が、「虐待」や「詐欺」などの悪質な行為を行う者がいます。今回は、そうした悪質な行為を防止するための記事ではなく、歴史的背景と制度から「尊厳」と「権利」の重要性を理解していきます。

目次

1,法からみた尊厳と権利

2,ノーマライゼーションとはノーマライゼーションと日本の福祉背景

3,介護と権利擁護

個人情報保護

プライバシー保護

高齢者虐待防止法

身体拘束廃止

成年後見制度

日常生活自立支援事業

4,まとめ

法からみた尊厳と権利

世界人権宣言

1948(昭和23)年

第1条 すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。

 

日本国憲法

第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

第25条第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

 

介護保険法

(目的)

第1条 この法律は、加齢に伴って生じる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持しその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保険医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保険医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。

 

第74条第6項

指定居宅サービス事業者は、要介護者の人格を尊重するとともに、この法律又はこの法律に基づく命令を遵守し、要介護者のため忠実にその職務を遂行しなければならない。

 

ノーマライゼーションとは

ノーマライゼーションの歴史的背景デンマークやスエーデンで、第二次世界大戦まで、知的障害や精神障害がある者に対して、結婚の規制や断種大規模な施設をつくり、他の人から隔離して収容するなど差別が行われてきました。しかし、戦後になって、そのような差別を廃止し、障害者も普通の人と同じような生活ができるようにしょうと運動を起こしました。1954(昭和34)年、デンマークのバンクーミケルセンが、知的障害者(児)の親と取り組んだ家と地域での生活の保障を目指す福祉改革が、知的障害者等福祉法となり状況を大きく変え、その後、1960年代にはスエーデンやアメリカに広がり、1980年代には、日本でも次第に受け入れられるようになりました。

ノーマライゼーションと日本の福祉背景

戦後の社会福祉では、障害者や高齢者など福祉の援助を必要とする者を「要援護者」と呼び要援護者は、健常者と違ってなんらかのハンディキャップがあるり、保護・更生援護など救済してあげなければならないといった考え方でした。日本でも、大規模施設を山の中につくるなど社会的交流がなくまた、大人数の居室を設けプライバシーのない生活環境等になっていました。

1990(平成2)年 福祉8法の改正

在宅福祉サービスの法的位置づけを明確にしました。

*福祉8法:児童福祉法、身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法、老人福祉法、母子及び寡婦福祉法、社会福祉事業法、老人保健法、社会福祉・医療事業団法

1997(平成9)年  介護保険法成立

自己選択や在宅介護の重視、総合的・一体的・効率的なサービスの提供などを基本的目標とする介護保険法が成立しました。

*介護保険法の実施  2000年(平成12)年

2000(平成12)年  社会福祉基礎構造改革

ノーマライゼーションを基本とする社会福祉基礎構造改革が行われ「要援護者」から「利用者」へと法律上の呼び方を改めました。また、福祉サービスの利用、「措置」から「契約」に改めるなどの改正が行われました。

*措置制度:行政庁が職権で必要性を判断し、サービスの種類、提供機関を決定する仕組で、社会福祉施設やサービスに利用者を入所させたり、その他の処置を行うこと

2010(平成22)年 障害者自立支援法

利用者の「応益負担」から「応能負担」に改められました。

*応益負担:利用者が受けたサービスの程度に応じて負担

*応能負担:利用者の収入等の負担能力に応じて負担

2011(平成23)年 障害者基本法改正

第1条 「全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがいえない個人として尊重されるものであると理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によってわけ隔てることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する」

 

2012(平成24)年 障害者総合支援法成立

難病等の障害者の範囲に加えること「障害程度区分」を「障害支援区分」に改められました。

このように、現在では、ノーマライゼーションは、害者に限らず、高齢者や病気の人などまで拡大され、誰でも普通の人と同じように生活ができるような社会として捉えられています。そこには、バリアフリーやユニバーサルデザインなどもノーマライゼーションと密接な関係性があります。

介護と権利擁護

現在、SNS(ソーシャルネットワークサービス)の普及により、手軽に情報のやり取りができるようになりました。過去に、高齢者の髪をイタズラ、仮装のような化粧をし、ブログ等に写真を載せ、社会的問題になった事例もある。虐待の認識がなくても訴訟問題に発展します。モラル(倫理・道徳)の低下だと、一言でかたづけられません。あるアンケート調査の結果、虐待は自分と関係ないと考えている人が200人中 190人以上が答えました。また、介護はストレスが多い仕事だから、という言い訳をする者も多いのも事実です。

個人情報保護

社会福祉士及び介護福祉士法

(秘密保持義務)

第4条 社会福祉士又は介護福祉士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。社会福祉士又は介護福祉士でなくなった後においても、同様とする。

介護福祉士が守秘義務に違反場合、1年以下の懲役または30万円以下の罰金但し、告訴がなければ公訴を提起することはできなません。罰金刑の場合、介護福祉士の登録は取消され、以後2年間は介護福祉士になることはできません。

介護支援専門員の守秘義務

守秘義務に違反した場合、登録が取り消され、1年以下の懲役または100万円以下の罰金

サービス提供事業所

介護保険法に基づく運営基準において、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者またはその家族の秘密を漏らしてはならないと定められています。守秘義務を違反した場合、都道府県知事による勧告、命令、指定取消しなどが行われます。

*厚生労働省から「医療・介護関係事業者のおける個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」が出されています。

プライバシー保護

個人や家族内の私事・私生活、個人の秘密が、他人から干渉侵害を受けない権利。
*個人が私的な内容に不快を感じた時点でプライバシーの侵害

高齢者虐待防止法

2005(平成17)年高齢者虐待防止法が成立     2006(平成18)年 4月1日より施行

在宅で高齢者を養護、介護する家族や親族等による虐待だけでなく老人福祉法や介護保険法の規定による居宅・施設・地域密着型サービスの事業所も範囲に入っている。

具体的内容

身体的虐待

高齢者の身体に外傷が生じ、または生じるおそれのある暴行を加えること。

 

放棄・放任(ネグレクト)

高齢者を衰弱させるような著しい減食または長時間の放置その他の高齢者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること。

 

心理的虐待

高齢者に対する著しい暴言または著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

 

性的虐待

高齢者にわいせつな行為をすること。または高齢者をしてわいせつな行為をさせること。

 

経済的虐待

高齢者の財産を不当に処分すること、その他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。

 

身体拘束廃止

介護保険施設等の人員、設備及び運営に関する基準における身体拘束禁止規定

省令条文

サービスの提供に当たっては、当該入所者又は他の入居者等の生命又は身体を保護するため緊急やむをえ得ない場合を除き、身体的拘束その他入所者の行動を制限する行為(以下身体拘束等という)を行ってはならない。

緊急やむを得ない場合とは

1,切迫性

利用者本人または他の利用者等の利用者等の生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと。

 

2,非代替性

身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する介護方法がないこと。

 

3、一時性

身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること。

 

成年後見制度

利用者の権利と人権を擁護する制度

成年後見制度

認知症などで判断能力が衰えたり、なくなってしまった成年者のためその財産の管理や契約の代理をすることなどにより、身上の保護し、支援する制度

 

任意後見制度

本人の判断能力が衰える前に、受ける援助の内容と援護者(任意後見人となる者、任意後見受任者)あらかじめ契約で決めておき判断能力が衰えた後、家庭裁判所により任意後見監督人の選任がなされてから支援が始まる制度

 

日常生活自立支援事

認知症高齢者や知的障害者、精神障害者など、判断能力が衰えても契約能力がある方が、基本対象となります。サービス内容:福祉サービスの利用援助(車イスの貸出等)、日常金銭管理や銀行の通帳などの書類預かりなど。

 

まとめ

介護の仕事は、個人の健康状態、生活歴、家族構成、住環境、経済関する内容、排泄についてなどの情報や実際の介護の場面では、入浴、排泄、口腔(口の中)など介助を行います。他人に知られたくない情報や見られたくない身体の部分を情報収取し介護します。つまり、人の生命や生活に関わるため、職業倫理が必要な仕事です。もし、専門職の立場利用し、虐待など行った場合、人にも社会にも与える影響は大きいものになります。日本の法律から見ても、人権と尊厳を重視していることは明確です。ノーマライゼーションの思想は、日本の福祉に大きな影響を与え介護の柱ともいえるでしょう。介護の仕事をする上で、絶対に無視することができない「尊厳」や「権利」の知識はあっても、「私には関係ない」などの意識やモラルの低下により、人権を侵害させかねません。介護の専門職として、高い意識と倫理感を持ち続けなければならないのです。

介護の気づき(職員編)

目次

目的と目標がない人、あっても実行しない人

愚痴だけ言う人

結論から話せない人

整理整頓ができない人

感情コントロールができない人

挨拶・身だしなみができない人

報告・連絡・相談ができない人

意識ができない人

自己分析できない人

部下(後輩・新人)を育てられない人

まとめ

目的と目標がない人、あっても実行しない人

目的を達成するために、具体的な目標をたてる

(例)ニューヨークに行きたい

(目的)いつまでにいくらた貯める
(目標) 具体的計画→実行→達成

利用者の介護計画を立て実行できるのに、なぜ、自分の目的・目標と実行ができないのだろう。介護はプロ(専門職)です。目的・目標がない方または、目的・目標があっても実行しない方は、成長と評価がされないことを知ってほしいです。

 

愚痴だけ言う人

介護の仕事は、人間関係で悩むことも少なくありません。愚痴が、悪いということではありません。愚痴は問題点を指摘している場合があります。しかし、愚痴を言うだけで、何もしない人がいます。
○○さんは、いつも仕事が遅い!愚痴は、意見として伝えた方が魅力的です。

○○さんは、いつも仕事が遅いため、○○の方法で改善してみてはいかがでしょうか。など言い方を変えるだけで、人に与える印象は違ってます。

 

結論から話せないない人

話をするとき、1から10まで順を追って話す人がいます。

例えば、Aの場合:○○さんが結婚しした。

Bの場合:○○さんと○○さんが、いつから付き合っていて、それでね、こういう状況でこうしてこうなり、結婚したの。Bのような話し方では何が言いたいのか最後まで聞かないとわかりません。

まずは、何を話すか整理してから話すようにしましょう。結論から話すことは、相手の時間も無駄にしません。

 

整理整頓ができない人

例えば、こんな人をよく見かけます。

・机が書類やもので埋もれている

・使ったものを元の場所に戻せない

・メモ帳や手帳を使いきらず、たくさん持っている

・パソコンの画面に貼り付けたファイルでいっぱい

など必要なものと必要でないものを切り離すことができければ、仕事が効率的に進みません。介護はチームケアです。整理整頓ができなければ、介護の質が落ちるのです。

 

感情コントロールができない人

介助者の思いにとは別の行動に対して、イライラしたり、プライベートと仕事の感情の切り替えができ無かったりする方を見かけます。そもそも、介護は介護者が優先者ではなく、利用者を優先すべき仕事です。また、プライベートと仕事の感情切り替えのできないなんて問題外の話です。不の感情は、虐待を起こしてしまう可能性もあります。

 

挨拶・身だしなみができない人

介護の仕事に関わらず、挨拶・身だしなみは社会人として基本です。挨拶身だしなみができない人は個人だけでなく、会社の印象も悪くなります。私が利用者であれば、こんな人には介護をされたくありません。

 

報告・連絡・相談ができない人

・指示・命令された仕事が一区切りした時

・特別なこと(トラブルなど)が起こった時

・予定より仕事が長引きそうな時

・長期の仕事の進行状況、中間報告

・仕事が終了した時

など報告が遅れ、上司に「あの件はどうなった」などと聞かれる前に報告が必要です。連絡では、口頭のみでの連絡が多く「言った」「言わない」の話になったり、相談では、問題が大きくなってからの相談しするなど、相手のことを考えない行動が見られます。何を伝え、どう相談するのか整理してから話す必要があります。また、自分なりの考えや意見がない(人任せな人)人もいます。報連相は、相手のことを考えて行う仕事です。いつ(タイミング)誰にどうのように伝えるのか考え行ってほしいです。

 

意識できない人

・自宅のものや自分のものは、大切にするのに、会社の備品は大切にしない。

・自宅のものや自分のものを買うとき、使うときコストを考えるのに会社のものは考えない。

・旅行など遊ぶときは、時間を気にするのに仕事では時間を意識しない。安全や改善も意識が必要です。

意識できない人は、意識しないだけの人です。

 

自己分析できない人

・自分のことより、他職員のことが気になる

・組織や上司が悪いと責任転換をする

・常に自分が正しいと思い込む・間違ったことをしても謝らない

など他職員、組織、上司のことをいろいろいう人ほど、自己分析ができていない。

 

部下(後輩・新人)を育てられない人

知識や技術を大事にしまっておく人がいますが、自分が苦労して得た知識や技術だからこそ、部下に教えるべきだと私は思います。得るたことから今度は、人に教えることを学べるチャンスです。日本介護福祉士会倫理綱領に、「後継者の育成」介護福祉士は、すべての人々が将来にわたり安心して質の高い介護を受けれる権利を享受できるよう、介護福祉士に関する教育水準の向上と後継者の育成に力を注ぎます。とうたっています。

まとめ

今回取り上げた○○の人は、実際に私が20年以上介護の仕事で実際に見てきた人たちです。共通することは、言い訳や口だけで行動に移せないく、クレーム(苦情)や人間関係でのトラブルが多いのです。できない人、やらない人は、「やる」と本気で決めていない人です。介護のプロ(専門職)として、成長と継続し続けるこは、大変なことですが、それがプロです。

気になる介護

目次

1、高齢者の現実 / よくある話

2、介護保険制度の背景と経緯

3、止まらない虐待・殺人事件

4、介護は専門職

5、介護職のメリットとデメリット

高齢者の現実

よくある話

一人暮らしのAさんは、庭の手入れが好きな83歳の男性。ある日、いつものように庭の手入れをしていたら、バランスを崩して転んでしまいました。たまたま近所の方が倒れているを発見し、救急車搬送されました。診断結果は、右大腿骨の骨折。手術後リハビリを行い何かにつかまれば5mほど、歩けるようになりました。しかし、退院後の生活に不安を感じています。

Aさんの不安:特に、お風呂や買い物に不安を感じています。

Aさんの思い:歩けない姿を近所の人に見られたくない。以前のように庭の手入れがしたい。

もし、あなたがAさんなら、退院後どう生活しますか。??? 誰に相談すればいいのだろうと悩んでしまいます。このような事例は多く、安心より不安が大きいのが現実です。現在日本は、世界からみてトップクラスの超高齢社会です。2019年7月30日厚生労働省の発表によると医療の進歩、健康に対する意識の向上などにより、日本人の3大死因であるがん・心疾患・脳血管疾患などの死亡率低下している。平均寿命男性82.25歳、女性87.32歳と過去最高。17年度に比べ男性0.16歳と過去7連続更新、女性0.05歳と過去6連続更新しました。

介護保険制度の背景と経緯

超高齢社会の中で、介護が必要な方の増加や介護期間が長期化、核家族化、老々介護などの状況と従来の高齢者に対する福祉・医療制度の問題から、2000年介護保険制度がスタートしました。従来の老人福祉は、市町村がサービスを一方的に決めるという措置制度と呼ばれ、利用者がサービスを選択することができませんでした。所得調査の心理的負担、市町村が直接または委託によるサービスのため、サービス内容が画一的、本人と扶養義務者の収入に応じた利用者負担であるため、中高所得の方には負担が大きくなりました。老人医療については、中高所得の方にとっては、福祉サービスより利用負担が少ない一般病棟への入院が長期化となりました。(社会的入院)

介護保険のスタートにより、利用者がサービスを選択できるようになりました。福祉と医療サービスも総合的に受けられるようになりました。社会保険方式とし、財源は、公費と保険料でまかない、給付と負担も明確になり、利用しやすくなりました。

止まらない虐待・殺人事件

介護保険制度がスタートし、今年で20年目となるが、虐待の問題は未だになくならりません。厚生労働省によると、平成29年度に介護施設などの職員による高齢者虐待は510件で、約6割が身体的虐待を受けました。18年度から11年連続で増加しています。平成28年7月 神奈川県立の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、19人の入所者を刃物で刺し殺した大量殺人事件は、社会的の大きなニュースでした。

平成18年4月1日に、高齢者虐待防止法が施行され、一層、各サービス事業所に、おいて身体拘束・虐待への社内・外研修や教育がされているにも関わらず、なぜ虐待が起こるのでしょうか。福祉の仕事に20年ほど勤めているが、非常にストレスの多い仕事であることは間違いないでしょう。そのため、感情コントロールできない人は、介護の仕事は難しいと思います。介護保険制度では、各サービスの種類ごとに人員配置基準が設けられ、条件を満たさない場合、運営に大きな影響を及ぼす仕組みになっています。それに加え、人材不足という社会的問題は改善されず、各サービス事業所において面接に来る人材の選考は悩ましいはずです。つまり是非採用したいと思う人材でなくても運営を考えると採用さざる負えない場合もあるといううことです。

社会的倫理、職業倫理、介護理念などの教育などの問題でだけでなく、職場環境や人材不足なども大きく関係しているのだと考えられます。人材不足の改善目的として外国人技能実習生制度など、他国の人材が介護現場で見られるようになっています。今後、ますます、身体拘束や虐待への教育体制が強く求められていくでしょう。

介護は専門職

医師、看護師などは、資格がないと業務を行えません。(業務独占)一方、介護士は資格がなくても業務を行うことができます。*すべての業務ができるわけではありません。介護の専門性は、単に知識や技術だけではありません。支援対象となる個々のニーズ(要望・問題など)は様々で、対人援助の中でもっとも重要なのが接遇マナーだと考えています。なぜなら、相手との信頼関係がなければ支援そのものが難しいのです。支援を受ける立場であれば、排泄や入浴などといった場面を他人に見られることが非日常であり、羞恥心があるからです。また、介護は何でも屋ではなく、個々のニーズに必要な支援を科学的根拠で支援する必要があります。例えば、最近トイレに間に合わず失禁がみられるから、すぐにおむつを使用することではありません。なぜ、トイレに間に合わないのか。身体状況の問題なのか、環境の問題なのか、薬の問題なのか、気持ちの問題なのかなど「なぜ」を分析しサービスを提供していく高度な専門職なのです。

介護職のメリットとデメリット

介護職のイメージは、3K(汚い、きつい、給料が安い)と呼ばれる時代もありました。現在の介護の仕事はどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

介護職のメリット

社会に貢献できる職業

地域や他業種・職種とのつながりが拡大する

生と死を考え、人生の価値観が変わる

コミュニケーション能力が上がる

資格取得などにより、キャリアアップが見込める

無資格や定年後でも働ける職場が多い

親の介護や自分の老後に役に立つ

国内だけでなく海外でもビジネスチャンスがある

笑うことが増える   など

 

介護職のデメリット

介護技術を身につけないと腰痛になりやすい

大型連休は取りにくい

人材不足

サービスの種類によっては、勤務が変則である

人間関係に悩むことがある  など

介護の仕事は、デメリットよりメリットが多いと感じています。給与については、他業種や大企業から比べたら安いのでしょう。しかし、給与だけでは、評価できない介護の魅力があます。給与にこだわる人は、別な仕事を選べば良いわけ、介護の仕事で生活ができないわけではありません。どのような生活を望むのかをしっかり決めておくことの方が重要だと考えます。誰でも、将来介護が必要となる時期が必ず来ます。誰もが、安心して過ごせる世の中であってほしいと願いながら、日々奮闘し続けます。